webpackに関してよかったニュースとそれに対する感想
注意: これは公式見解ではない、ただ1メンバーの感想文です。
最近の大きなニュースとしては、webpackの主要メンバーの2人(Sokra, Alexander)は現在vercel雇われたことです。
🥳News: I have joined the awesome team at ▲ @Vercel
— Tobias Koppers (@wSokra) 2021年4月13日
While I'll continue to improve webpack, I'll also work on making Next.js even smoother...
Good news today, I have joined @vercel🌟
— Alexander Akait (@alexander_akait) 2021年12月29日
これによりメンテナンスの安定度が増したことは確かでしょう。現状の問題点はメンテナ不足です。webpackですら深刻です。 例えば今日、障害が発生しているmini-css-extract-pluginは一人で開発しているためレビュワーがいません。この2年ぐらいずっとこのような感じです。
アクティブなメンバーはごく数人であり、彼らがいなくなると途端に速度が低下されることでしょう。その中の二人が雇われたことは個人的には安心度があり良かったニュースです。しかしながら、安定はしても人数を増やさないとスケールしないので、どうOSSコミュニティを今後も広げていきメンテナンスできる人を増やすかは鍵だと思います。
さて、webpackがvercelの要望に引っ張られるかどうか?と聞かれることがありますが、それは自分にはわかりません。例えば、lazy compilationの実装も他のに比べてそこまで優先度は高くなかった記憶ですが、next.jsのonDemandEntriesをwebpack nativeに寄せるために優先度が上がったのかなと想像はしています。ただ、webpackはサービスというよりも、インフラであるため基本的に入る機能はユーザーに良い影響があるものばかりで、大きな心配はしてません。例として、現在cssに第一市民権を与える機能を追加していますが、これは誰に対してもいい影響を与えるものだと自信を持って言えます。
まだかなり実験的ですが、cssがwebpackで動くようになりました。css-loaderやmini-css-extract-pluginがこれにより不要となります / Release v5.66.0 · webpack/webpack https://t.co/abQDPRXiYH
— 蝉丸ファン (@about_hiroppy) 2022年1月12日
他にわかっている範囲では、vercelもswcのauthorを入れたことにより、話しているとwebpackにもacornからswcへ乗り換える可能性と優先度が上がってきていることを感じています。理由は明確で、next.jsも含めJS界隈で今注目されている開発速度向上のためです。今後、webpackからswc(bundle機能もまだまだ実験中ですが持っているため)へnext.js自体が完全に乗り換える可能性は否定できませんが、内部の人間ではないためそれは今後に注目しましょう。
ちなみにswcもwebpackのastを構築済みです。
https://github.com/swc-project/swc/tree/main/crates/swc_webpack_astgithub.com
他には、terser-webpack-plugin にswcとesbuildが入った点も同じ理由です。(もうパッケージ名と一致してない とは思っていますが)
唯一心配しているのは、今後のwebpackのopenCollectiveの運営に対してはどうなるのかなって思っています。webpackはOSSの中で大量のスポンサーがいることは有名です。少なくともv4までは、機能追加をスポンサー、ユーザーの投票で優先度を決めるということにしていました。
v4では以下の通り
しかし、現在のv5ではページ自体が機能していません。
スポンサーの意向が伝えられない状態でのopenCollectiveの運用は今後不明な要素となります。このスポンサーは果たしてvercelと比べてどれぐらい重みがあるのか? や voteページ機能してないけどどうするんだっけ みたいな問題が残っています。その反面、基本会社の仕事としてOSSをする場合は配当を受け取らないので、さらにプールに大きな余りができ、新しいメンテナを入れやすくなる点は良かったかなと思います。経験上、お金を払えばメンテナンスが続くわけではないですが、ないよりはあったほうがいいとは思います。いずれにせよ、このような不安はありつつ、これほど大きな資金を持つOSSで且つ会社に雇われる状況になったことがあるOSSは初だと思うので、今後に注目という事になりそうです。
まとめもなにもないですが、数年openCollectiveで運営していて特にコロナの影響で配当額が大幅に変わり、OSSフルタイムが厳しい状況もありました。それが会社に雇われて本当に良かったと思うのと同時に、今後のOSSコミュニティ運営について、注目していきたいと思います。